第3話 あの夏の懐かしい遊び

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 川面が穏やかに流れる。  白い煙がたなびく。そちらを見ると、遠くでテントを張り、BBQをしている親子連れがいた。  バスケットボールをする中高生らしきグループが、元気に叫んでボールを追いかけている。 「この町は変わらないな。どこまでも自由だ」 「うん、そうかも」  俺はポツリと呟いた。しゃがんだユウキが頷く。  余裕がない男女がセカセカと歩き、車もクラクションをひっきりなしに鳴らす。あの街は何で時間に追われているんだろう。  別に都会を悪く言いたいわけではない。  この町だって、時間にルーズで、あの街に出ると叱られる田舎者がたくさんいる。  でも今は嫌なことを忘れて俺は、太陽と青い空の下、日暮れまで遊んでいたい。  遊んで……あれ……。  眩暈。  田舎の少年の気持ちではあったが、身体はあの頃ほど強くないようだ。俺は石の上に倒れた。
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