センチメンタルにゆれる。

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放課後に乗る公園のブランコは、わたしとあの子の特等席。 特等席なのに、あの子はわたしじゃない子と親しげに話しながらブランコを漕いでいる。 いつもわたしだけがひとりじめしていた笑顔で、あの子はわたしじゃない子に笑いかけている。 無愛想だとまわりに遠ざけられているあの子のかわいい笑顔をみられるのは、わたしの特権だったはずなのに。 鍵付きの交換日記のようなとっておきの秘密の宝物を奪われ行き場のない感情を持て余してしまった。 なにより、あの子にとってはこのひとときはその程度のことだと、あの子が笑いかけたのは特別なことじゃなかったのだ、と。 思い上がりもいいところだ。 今日は、もう帰ろうとあの子と見知らぬだれかが談笑しながら漕いでるブランコを背に踵を返すと、それに気付いたあの子があわてて追いかけてきた。 『待ってよ〜』 そういいながら小走りに駆け寄ってくるものだから、ちょっと意地悪をしたくなって全力疾走して逃げた。 すると、ゼェゼェハアハア息を切らしながら追いかけてくるものだからおかしくなっておもわず笑ってしまった。 笑うなんてひどい!なんていいながらもつられて笑い出して、ずっとふたりで爆笑し合っていた。 気付いたら、日も落ちかけていて明日もまたブランコに乗る約束をした。 そして、ほかの子とはもうブランコに乗らない約束もいっしょに指切りげんまんをした。 破ったら、どうなるかわかってるよね。 永遠にわたしだけのあの子になってもらうから覚悟していてね。 そのときは、首筋にキスマークと噛み跡つけるから。
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