3 複数の婚約指輪と詐欺事件

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「じゃ、そろそろ帰るか。美味かったね!」 「クソ美味かった! サンキューな、(おさむ)!」 「あのな、美味いもんにクソとかつけるな」 「()めてんのに! お育ちがアレなもんで」  相変わらず、気が合うのか愉快げに話し、(おさむ)は怒っているようで、困っても見えるが、からっとした笑い声を上げる翼はヤンキー。タオルを巻いた、丸い後頭部に(てのひら)を当てて、恥ずかしがってはいるが、ズレているのだ。ふらっと現れて、ふらっと帰ろうとしたが。 「待て待て! タダ飯はできないんだぞ?」 「そんなぼったくりバーみたいなのアリ?」 「うちはライスおかわりはタダじゃねえの」 「おかわりしてねえし、マジかよ。危ねえ」  炊飯器の釜を取り出した月白が引き止め、嫌な予感しかしないことを言い出したのだ。淳はビックリついでに怖くて笑っているが、全くジョークの(たぐい)ではなかったようである。昨夜も(ひま)そうな少年達は駆り出されていた。 「店番があるんなら、しょうがない話だが、ちょっと、軽く片付けを手伝ってくれたら」  処分したり仕分けしたりする作業があり、渥視(あつし)も書庫の片付けを手伝って欲しいとか、持ちかけていたように同じことを言うから。 「軽くじゃねえじゃん! 腰に(ひび)くんだぜ。交換条件によっちゃ考えなくもねえけど?」
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