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「じゃ、そろそろ帰るか。美味かったね!」
「クソ美味かった! サンキューな、宰!」
「あのな、美味いもんにクソとかつけるな」
「褒めてんのに! お育ちがアレなもんで」
相変わらず、気が合うのか愉快げに話し、宰は怒っているようで、困っても見えるが、からっとした笑い声を上げる翼はヤンキー。タオルを巻いた、丸い後頭部に掌を当てて、恥ずかしがってはいるが、ズレているのだ。ふらっと現れて、ふらっと帰ろうとしたが。
「待て待て! タダ飯はできないんだぞ?」
「そんなぼったくりバーみたいなのアリ?」
「うちはライスおかわりはタダじゃねえの」
「おかわりしてねえし、マジかよ。危ねえ」
炊飯器の釜を取り出した月白が引き止め、嫌な予感しかしないことを言い出したのだ。淳はビックリついでに怖くて笑っているが、全くジョークの類ではなかったようである。昨夜も暇そうな少年達は駆り出されていた。
「店番があるんなら、しょうがない話だが、ちょっと、軽く片付けを手伝ってくれたら」
処分したり仕分けしたりする作業があり、渥視も書庫の片付けを手伝って欲しいとか、持ちかけていたように同じことを言うから。
「軽くじゃねえじゃん! 腰に響くんだぜ。交換条件によっちゃ考えなくもねえけど?」
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