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────「っ待って……」
真っ暗な寝室に、私の嬌声と彼の吐息だけが響く。
止めどなく押し寄せてくる快感に身体がついていかず、いくら待ってと懇願しても部長の動きは止まらない。
緩やかになるどころか、もっと激しく攻められる。
何度お互いに絶頂を迎えても、彼からの刺激は終わることがなかった。
「一回……休憩……」
「だめだよ。お預けされた分を取り戻さなくちゃ」
言っている意味がよくわからない。
そうこうしているうちに次の愛撫が始まる。
「寂しい思いをさせたから、いっぱい可愛がってあげないと」
「待っ……」
その夜は、部長の自宅で久しぶりに二人で食事をして。
一緒にお風呂に入って、たくさんいちゃいちゃして。
会えなかった数日間を取り戻すように、私達はこれ以上ないくらいにお互いを求め合った。
今日も今日とて、情熱的でエス気質に豹変する部長に、ぼんやりと友香子さんの言葉を思い出す。
淡白なんてとんでもない。
こんなに濃厚で熱い夜を私は知らない。
もう一度果てた後、汗ばんだ身体をぐったりと休めて息を整えながら、部長を見上げた。
「……どうして部長は、私には豹変するんですか?」
そんな根本的な疑問を投げかけると、部長は目を丸くする。
「……豹変してる?」
……自覚ないの?
「ものすごくしてます」
それはもう、何百回も心を鷲掴みされるくらいに。
彼は屈託なく笑った。
「多分必死なんだよ」
「必死?」
「さくらを振り向かせたくて」
軽く触れるだけのキスをして、部長は私に腕枕をしながら語り始めた。
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