エピローグだけの物語

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 その人と雪だるまを作ったとき、その人の姿は見えなかった。ただ、声だけがすぐそばでしているだけだった。 「名前つけようよ」  完成した雪だるまを見て、私は言った。 「なんてつけるの?」 「ユッキー」 「いいね」 「ユキロー」 「それもいいね」 「ユッキン」 「いっぱい思いつくね」 「じゃあ、全部合わせてユッキローン」 「おもしろいね」 「でも、やっぱりイチゴが好きだから、イチゴちゃん」 「なにそれ」  その人が笑った。私も笑った。雪だるまの目にしていた秋に拾った松ぼっくりが片方落ちた。  
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