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丸太程の太さを持つ大蛇、その鎌首にあたる上半身には上半身裸の永渚が「くっつけ」られていた。まさか、上半身と下半身を分断され、下半身には大蛇の剥製を繋げられたというのか。こんな残酷なことがあると言うのか!? 大きなショックを受けた銀娟は膝から崩れ落ちてしまう。
「おい! 早く逃げるぞ!」
由宇の叫びにも銀娟は応じない。大蛇は永渚の上半身を鞭のように撓らせると、銀娟の前でピタリと止まった。そして、右手で銀娟の頭を優しく撫で始めた。
「良かった。ブジ、だったのね」
「お、お姉ちゃん?」
「そう、こんな体にさレたけど…… アタシは永渚よ……」
銀娟は永渚を抱きしめた。幼い頃からよく胸に抱かれていた銀娟はその香りも温もりもしっかり覚えている。
だが、もう今の永渚は人形の体。香りも温もりもなく、ただ冷たく硬いだけの人の形をしただけの塊に過ぎない。銀娟は永渚には申し訳ないが、嫌悪感を覚えてしまった。
そこに由宇が割り込んだ。
「どうして…… こんなことに? 食堂で俺達と別れてから何があったの?」
永渚は暫しの沈黙の後、梓王と四人娘に起こった悲劇について語り始めた……
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