0人が本棚に入れています
本棚に追加
※11/30 加筆修正。
『【怪物】(たち)の目覚め』企画・プロット
【概要】
一人の女子高生 加山サオリ(かやま さおり)が起こした「とある騒動」に巻き込まれ崩壊していく家族や教師、イジメっ子たちの姿を、
元精神科医の朝倉清美(あさくら きよみ)を狂言回しにして描く。
【この作品で描きたい、伝えたいこと】
「人はいつどこで狂気に陥るか わからない」
「人には必ず怪物的(暴力や犯罪などを起こす闇)な部分があり、いつか本性を現す」
「そしてそれらは人から人へと伝染し、やがて暴動へと繋がる」
ということを伝えたい。
タイトルを『怪物(たち)の目覚め』としたのも、
サオリだけでなく その他の人たちもまた彼女の騒動によって『怪物』の一面が見え始めることを意味している。
またこの作品では明確な答えは あえて描かない。
登場人物たちの怪物的な一面を許せるか否か、
それを見る人に委ねたいからだ。
【主要な登場人物】(名前は全て仮でつける)
朝倉清美(あさくら きよみ)
50歳。本作の狂言回し。旧姓は河田(かわた)。
元精神科医で患者や治療に関する本もいくつか出版している。
34歳の時に結婚して専業主婦になるが、
以前本を出させてもらった出版社から『加山サオリが起こした事件』について精神科医の視点から書いてみないかと依頼される。
16歳の娘と14歳の息子がいる。
朝倉幸雄(あさくら ゆきお)
60歳。職業は翻訳家。清美の夫。
仕事一筋で真面目な性格。
物静かで口数も少ないため無愛想に思われることが多いが、
依頼を引き受けるか迷っている清美にアドバイスしたりと良き理解者としての一面もある。
朝倉真帆(あさくら まほ)
16歳。高校生。清美の娘。長女。
同じ年齢ゆえか、
『とある騒動』を起こしたサオリに同情している。
朝倉優太(あさくら ゆうた)
14歳。中学生。清美の息子。長男。
『とある騒動』を起こしたサオリに対して「悪い奴だ」、「悪いことをするのは いけない」と断言している一方、
「いつか自分もそういった悪いことをしてしまうのでは?」と不安になる一面もある。
姉の真帆とは言い合うことはあるが、
仲は良い。
山崎徹(やまざき とおる)
47歳。清美が本を出していた出版社の編集長。
当時 清美の担当編集者だった。
精神科医を引退した清美に仕事を依頼する。
加山サオリ(かやま さおり)
16歳。女子高生。
物語のキーパーソンであり、世間を騒がせた『怪物』。
自身をイジメていたクラスメイトの一人を階段から突き落とし意識不明の重体にしてしまう。
両親、クラスメイトの母親、担任から謝罪するよう言われるが、
イジメた側から謝罪するまでは謝らないと拒否。
そこからイジメていたクラスメイトに対して謝罪を要求し続け暴走していく。
現在、父親によって頭を殴られ昏睡状態となって入院している。
小学生の時にクラスメイトの神原くるみ(かんばら くるみ)を助けるが、
その際 相手に怪我をさせてしまい両親や相手の保護者、担当教師から謝罪するよう促される。
その時は渋々 謝ったが、
「なぜ被害者側であるこちらが謝らないといけないのか?」
「なぜ被害者面している あいつらを許さないといけないのか?」
という疑問が生じ、これが今回の騒動のきっかけになる。
加山満久(かやま みつひさ)
46歳。建築会社の課長。サオリの父親。
仕事には真面目に取り組み、
部下からも慕われている一方、
家事やサオリを含めた家庭でのことは全て妻に押しつけているなど完璧な父親という訳ではない。
娘の暴走によって会社の地位も名誉も失い、家庭も崩壊。
最終的に自分の人生を狂わせた『怪物』=『サオリ』を殺害しようとするが逮捕されて現在 服役中。
加山久美子(かやま くみこ)
40歳。専業主婦。サオリの母親。
娘が起こした騒動によって周りから激しいバッシングを受ける。
そのストレスから日頃 溜めていた不満を夫にぶちまけ夫婦仲が険悪になってしまう。
その後 精神的に不安定となり自殺する。
弘田祐介(ひろた ゆうすけ)
42歳。サオリの担任教師。担当科目は国語。
サオリに謝罪をするよう促すが拒否される。
高校生の時にイジメにあって そこから10年以上引きこもっている息子がいるが、ろくに向き合おうとしない。
そのせいか夫婦仲も冷めているなど家庭に問題を抱えている。
そのため他の女性と浮気をしているが、サオリの暴走と息子のある行動がきっかけで破滅していく。
最後は息子とサオリに土下座して謝罪し、現在はホームレス同然の生活を送っている。
サオリや息子の影に怯え、社会から隠れるように生きている。
弘田純一(ひろた じゅんいち)
29歳。祐介の息子。無職。
高校生の時にイジメにあい、それ以来引きこもっている。
写真や動画撮影が趣味だが、それを理解せずイジメられたのも自分が弱いせいだと叱りつけた父親に憎しみを抱いている。
その怒りを母親にぶつけることもしばしば。
サオリがイジメっ子たちに謝罪を要求するために行動していることを知り、イジメっ子、親や学校、世の中に反発する彼女を『神』と崇め、
父親が浮気をしている現場の写真や盗撮を彼女に提供する。
それにより地位も名誉も妻すらも失った父親に自分やサオリを理解しなかったことを土下座で謝罪するように強要。
その様子を動画に撮り、SNSや動画サイトに投稿する。
その後『もう一人の加山サオリ』になるべく、
かつて自分をイジメていた人物たちの住所と電話番号、彼らを盗撮した動画を拡散して逮捕される。
弘田奈津子(ひろた なつこ)
41歳。専業主婦。祐介の妻で純一の母親。
高校生の時から引きこもっている息子を心配している。
頭ごなしに息子を貶し ろくに向き合おうとせず、さらにその責任を自分に押しつける夫と、
父親への怒りをぶつける息子によって精神的、肉体的に追い詰められている。
純一によって明るみに出た夫の浮気によってそれまで溜め込んでいた怒りが爆発。
最後は離婚届けだけを置いていなくなってしまう。
玉置麗子(たまき れいこ)
44歳。英会話講師。元女優。
サオリが階段から突き落として意識不明の重体にした娘 璃子(りこ)を溺愛しており、「娘がイジメなんてありえない」と認めようとしない。
結婚をきっかけに女優を引退するが、璃子が生まれてすぐに離婚。
女手一つで彼女を育てる。
よく彼女と一緒に撮った動画や写真をSNSに投稿しており、仲良し親子ぶりをアピールしている。
しかし後に娘が自身を疎ましく思っていたこと、サオリ以外の人にもイジメをしていただけでなく「パパ活」まで行なっていたことを知り精神的にショックを受ける。
最終的に娘を殺害し、自身も薬を飲んで自殺する。
玉置璃子(たまき りこ)
16歳。女子高生。麗子の娘。
サオリをイジメていたクラスメイトの一人。
母親から溺愛され、よく二人で写真や動画を撮るが、
実際は母親を疎ましく思っており、そのストレスをイジメや「パパ活」などで発散していた。
サオリから突き落とされて意識不明になるが、
最後は事実を知った母親によって亡くなった。
飯沼あずさ(いいぬま あずさ)
16歳。女子高生。璃子の友人で彼女と共にサオリをイジメていた。
璃子から母親の悪口や『パパ活』のことを聞いている。
実は彼女自身、璃子のことが好きでなくサオリに璃子の秘密を告発している。
松沢敦(まつざわ あつし)
16歳。男子高校生。
サオリをイジメていたクラスメイトの一人。
親が会社の社長で、それを理由に傍若無人な振る舞い(暴力や暴言、器物破損、飲酒や喫煙など)をしていたが、
サオリからの執拗な謝罪の要求によって親の権力を失い、家族や友人から見放される。
最後は自分がこれまで酷い目に合わせてきた人たちによって暴力を振るわれ命を落とす。
松沢詩織(まつざわ しおり)
15歳。女子高生。敦の妹。
兄のイジメが世間に広まったことで自身の立場や信頼を失ってしまう。
そのため兄に激しい憎悪を抱き、彼が暴力を振るわれているのを見て見ぬふりする。
兄の死後は名前を変えて あちこちを転々とし、お金目当てで複数の男性と関係を持つような生活を送っている。
八木和昭(やぎ かずあき)
16歳。男子高校生。
当初は敦、璃子、あずさ と共にサオリをイジメていた。
しかし実際は敦に奴隷のように扱われていたため彼を憎んでおり、
彼らに謝罪させようと行動していたサオリに彼のこれまでの悪事を密告する。
最後は敦の被害を受けていた人たちと共に全てを失った彼に暴行を加え復讐を果たす。
神原くるみ(かんばら くるみ)
16歳。女子高生。サオリの小学生時代のクラスメイト。
小学生の時にイジメられていたのをサオリに助けてもらったことから、
今回の一件を起こしたサオリを肯定する唯一の人物。
【物語の流れ】
物語は清美がサオリに関係する人たちの話を聴く『清美のパート』と、
その人たちの回想という形で展開する『サオリのパート』を交互に描く。
ここでは『サオリのパート』を中心に簡単に解説。
1.ことの発端。サオリが璃子を階段から突き落とし、意識不明の重体にする。
2.璃子の母親 麗子、自身の母親 久美子、担任教師の弘田から謝罪を求められるが、彼女は拒否する。
3.そこから始まる彼女の暴走。
【主な内容】
璃子と敦の家に謝罪を要求する手紙を何通も送る。
彼らの私物、机などを全て捨てる。
学校に璃子と敦、さらには何の対策もしない弘田の写真を貼ったり、弘田の息子の純一の力も借りてSNSで彼らの情報をばら撒き晒し者にする。
4.やがて崩壊していく回りの人たち。
敦は家族から見放され、自分が酷い目に合わせてきた人たちから暴力を受ける。
璃子は自身の裏の顔を知った母親に殺され、その麗子も自殺する。
弘田は社会的地位も妻も失い、息子によって惨めな姿を世間に晒すことになる。
そしてサオリの母親は精神的に追い詰められて自殺。
父親はサオリを殺そうとして逮捕される。
5.そして現在。サオリは意識不明のまま入院する。
この【サオリのパート】の間に、
清美は様々な人たちの話を聴いていく。
やがて本は完成し、世の中に衝撃を与える。
病院で眠るサオリの横に自分の書いた本を置いて立ち去る清美。
サオリの指が一瞬 動いたことに清美は気づいていない。
果たして彼女は目覚めたのか?
そして目覚めた彼女は『怪物』のままか?
それとも…?
という余韻を残して物語は終わる。
以上が本作の企画・プロットである。
最初のコメントを投稿しよう!