もしも

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と、丁度車がモサコの前に到着しました。 「冗談だって。じゃあ、又な。香澄にはあんたが元気そうだったって伝えておくぜ」 シートベルトを外しながら、千夜くんはそう言うと、車から降りました。 「宜しくお伝えください」 僕がそう言うと、千夜くんは片手を挙げて、シャッターの閉まっているお店の脇…玄関の方へ去って行きます。 彼が中に入ったのを見届けた僕は、車を今、住んでいるマンションに向けて発進しました。 僕のマンションの部屋は、高校1年生の時にお世話になった安倍圭介(あべ けいすけ)さんの隣、703号室です。 安倍さんは大手の会社、株式会社ピオレリュートの代表取締役で、確かつい先日、ご結婚されたそうです。 僕も結婚式の招待状を頂いたのですが、仕事が忙しくて、欠席してしまいました。 それでも、安倍社長は変わらず僕に良くしてくれます。 先日も、医者の不摂生ではありませんが、食事の時間がバラつきがちな僕の身体を心配して、「作り過ぎたから」と、お惣菜をいただきました。 安倍社長も千夜くんと同じく料理ができるので、奥さんは主に洗濯や掃除をしている様です。 たまに仕事が休みの日にベランダで僕が洗濯物を干していると、綺麗な奥さんが同じく洗濯物を取り込みながら、ニコリと挨拶してくれました。
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