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名指しされた白暘は声を落として喋り始めた。悲壮感漂うその姿は、一見すると心の奥底から悲しんでるようにも見える。前回よりも格段に演技が向上しているので、彼が人形だと知ってる雪玲でさえも騙されそうになった。
「我々はあなたを妃として迎えに来たわけではございません。その腕とその体質が必要なのです。……事の発端は、今から三年前、後宮で起きた事件からでした」
それは〝茶会毒殺事件〟といわれていた。
当時、皇后主催の茶会に参加した妃五名、第一皇子、第一公主、第三皇女の計八名がその日の夜、大量の発汗、痙攣、発熱などに苦しみながら死亡した。
すぐさま調査の結果、果物の砂糖漬けに毒が仕込んであることが発覚。
その後、使用された毒物を特定するため、果物の砂糖漬けを調べたところ鴆毒の反応があった。亡くなった八人の体液を調べると、同じく鴆毒の反応があり、調査にあたった奚官局は、これを鴆毒を使用した毒殺だと断定した。
管理不足の責で、茶会の菓子を用意した尚食局がひとつ、司饎の宮女計二十四名を鞭打ち及び首切りの刑に処したが、毒物を盛った犯人は未だ見つかっていない。
(どういうことでしょうか)
話を聞きながら雪玲は冷や汗をかいた。
三人はその様子を恐怖からくるものだと判断したようだ。翔鵬はどこか嬉しそうに、護衛の二人は——片方は演技だろうけど——心配そうな表情を浮かべた。
「肝が据わっていても、さすがにこれは驚くのだな」
翔鵬の言葉に、白暘は「女性には辛い話ですから」と返すと心配そうな目で雪玲を見た。
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