水曜日∶ラーメン

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水曜日∶ラーメン

『今から帰ります』 私が帰宅して、いつも大体1時間後くらいにラインが来る。このラインがきてから40分後に旦那が帰宅する。 帰りが遅くなったり、早くなったりする時も必ず連絡をくれる。それは私が帰宅のタイミングに合わせて夕飯の仕上げをするからだ。 今日はラーメン。 だからそんなに慌てなくてもいい。 旦那が帰宅して、私は仕上げにとりかかる。沸騰した鍋の中に麺を入れ、やかんで湯を沸かす。液体スープを丼ぶりにいれた時、旦那のスマホが鳴った。 ブクブクブクブク 麺はもう鍋の中。 ああ、もう!何でこのタイミング! 私は見たこともない電話相手に苛ついた。 仕事人間の貴方は仕事の電話を優先する。そしていつも、だいたい5分以上は話している。仕方無い、仕事なんだから。 私は半ばヤケになって麺をザルにあげ、ラーメンを仕上げた。副菜のサラダは帰宅連絡があってから出しっぱなし。 案の定、旦那が食卓についたのはラーメンが出来上がってから約10分後だった。 「いただきます」 きっと麺はのびのび、スープも冷めている。 そんなラーメンを、貴方は文句1つ言わずに完食した。 仕方無いよね、仕事なんだから。 そう思いながらも、どこか申し訳なく思っている私がいた。
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