金曜日∶カレーライス

1/1
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

金曜日∶カレーライス

「あっ!やった!今日はカレーだ!」 嬉しそうな明日香の顔は、私の癒やし。 朝、出勤前に作っておいたカレーは鍋の中でプクプクプクプクと美味しそうな湯気をたてている。 「ただいまー。お、今夜はカレーか」 「お帰り」 辛いものが苦手な旦那も、カレーだけは別らしい。ルーは甘口だけどね。 「明日香ー、サラダ運んで!」 「はぁい!」 いつもより元気のいい返事に、思わず笑顔になる。テーブルの準備が終わる頃、旦那が食卓についた。 「いただきます!」 味の染みた熱々のカレーは湯気まで美味しい。 豚肉、じゃが芋、玉ねぎ、人参。特別な隠し味もない普通のカレー。それでもやはり、カレーは美味しい。 「大丈夫?足りる?」 今日はカレーとサラダだけ。貴方はよく食べるから、足りるか心配になる。頑張って働く人が、疲れて帰ってきて空腹じゃ可哀想だから。 「大丈夫」 そういう旦那に、明日香はニヤニヤしながら言った。 「ママに気を遣わせたくないからそう言ってるんでしょ?」 あらやだ。 気を遣うなんて小学生のくせに何処で覚えてきたの?と思いながら、私は貴方の様子を窺った。 「いや、普通に足りてるから大丈夫」 普通って何よ、と思いながらもお腹いっぱい食べれて良かったと笑みが漏れた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!