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今度の敵は要人に近づき、十メートル以内でターゲットを発見すると爆発する自爆型ロボットだった。その威力はすさまじく百メートル周辺は瓦礫となるほどだ。もちろん十メートル先にいたターゲットは助からない。つまり十メートル先にいたらゲームオーバー、この手口で日本の防衛大臣が犠牲になっていた。
警備にあたっていた警視庁の面目は丸つぶれだ。困ったことにロボットは人間そっくりで、外見から判断するのは困難だった。
「で、なんでわたしが……」と、景子は迷惑顔で、自分の部屋に入って来た父親を見た。
今は中間試験中で、高校生としてはとても忙しい時期だ。とてもじゃないが自衛隊の手伝いをする時間はなかった。
「自力で何とかしてくんないかな?」
「それが駄目なんだ~!」
恵介は両手を合わせた。
今度は総理を狙うと予告状が届いているという。
「テロリストどもは、そうやって日本警察を混乱させておいて、さらにあくどい計画をたてているに違いない」
それが警視庁の公安部の見解だった。
まずいことに衆議院選で総理も忙しい。官邸に閉じこもるなど許されなかった。たとえ応援演説へ行かなくても、自分の立候補地で街頭演説をしないわけにはいかないからだ。
自衛隊特殊部隊も公安から応援を要請されたのも、難事件を短期間で解決してきた実績によることが大きい。
「これはテロを使った立派な戦争だ。言わば侵略だよ、被害が出た以上、自衛隊が出てもおかしくない事件なんだ!」と、恵介は手を合わせて、「頼む! 防衛大臣を助けてくれ!」と、頭を下げてきた。
景子は大きく溜息をついた。
もうすぐ二十四時間、時間を巻き戻す限界が来てしまう。
「わかったわよ! なるべく早く頼みに来てね、お父さん!」そう言いながら景子は時間を巻き戻した。
*
今度は襲われる時間も場所もわかってる。
恵介は防衛大臣に似せてゴンタロウの兄弟アンドロイドを身代わりにして待機させていた。
爆弾ロボットが近づこうものなら、即座に冷凍ガスで冷却して動きを止めておき、中の信管を外す手はずになっている。
今度はアンドロイド・ゴンタロウもいる。見逃すことは考えられなかった。
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