188人が本棚に入れています
本棚に追加
廊下をゆっくり歩くと、あちこちで修繕作業は進んでいたが、皆苦しそうな表情はなかった。緑玲妃が皇妃になることで、逆に浮き足立っていることが多い。それほど、彼女は皆から慕われているのだから。
「恋花」
城へ通じる廊下に差し掛かるところで、向かい側から紅狼がやってきた。曲がってきた角の方向から同じように呼ばれたかもしれない。
「奶奶に呼ばれて」
「俺もだ。共に行こう」
「はい」
以前は後ろを歩いていたが、今は横に並んで歩くことが出来る。その距離の縮み方が、恋花には嬉しかった。この美しい男性が、自分の恋仲だと……まだ自信がない部分もあるが、事実だと微笑んでいる顔を見て実感は出来た。
最初のコメントを投稿しよう!