第94話 変わった事

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 廊下をゆっくり歩くと、あちこちで修繕作業は進んでいたが、皆苦しそうな表情はなかった。緑玲妃が皇妃になることで、逆に浮き足立っていることが多い。それほど、彼女は皆から慕われているのだから。 「恋花」  城へ通じる廊下に差し掛かるところで、向かい側から紅狼(こうろう)がやってきた。曲がってきた角の方向から同じように呼ばれたかもしれない。 「奶奶(ナイナイ)に呼ばれて」 「俺もだ。共に行こう」 「はい」  以前は後ろを歩いていたが、今は横に並んで歩くことが出来る。その距離の縮み方が、恋花には嬉しかった。この美しい男性が、自分の恋仲だと……まだ自信がない部分もあるが、事実だと微笑んでいる顔を見て実感は出来た。
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