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第6話 先見の麺麭
「……その先見、具体的な内容を聞いてもいいか? 俺の呪眼には、麺麭と言うものが出てきたんだが」
呪眼は異能力のようではあるが、万能ではないようだ。九十九の姿を暴くことは出来ても、恋花の持つ先見の力すべてを覗くことは出来ないらしい。
ここで忘れていたが、食卓に置いたままにしていた『あんぱん』を思い出した。それが異能の現れであることを説明できるだろうと。だが、今はここに居る玉蘭をこのままにしていいか悩んだ。封印されているのであれば、己の九十九である梁を通じて解けられないか。
しかし、それがすぐに可能だったら、今までの生活は違っていたはず。なので、一旦ここから上に戻ろうと決めた。
「……少し戻りましょう」
恋花の言葉に、二人とも頷いてくれたので、階段の上へと戻ることにした。梁は玉蘭に何もしなかったので、ここについてはこれで良いのだろう。寝室を元通りにしてからは、沓を脱ぎ、紅狼を食卓の方に案内した。
「……これは?」
そのままにしていた卓の上には、冷めてはいるだろうが皿に『あんぱん』が置かれている。包子とも似ても似つかず、表面がしっかり焼けて上には胡麻が乗っている。
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