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人間でない存在。寄り添う存在。
今日まで、地下で封印されている祖母に代わって、一緒にあの家で生活してくれた。麺麭作りも祖母に化けていた時と同じように、手際良く手伝ってくれたのだ。少しずつだが、彼を己の九十九だと受け入れようとしているけれど、気持ちは追いつきにくい。
無理もないことだが、人生の大半を『無し』として迫害に近い扱いを受けていたのだ。今日家を出た時も、梁を見られたことでどれだけ周囲の人間らに驚かれたことか。
麺麭の匂いに釣られてきた子どもらもだが、ほとんどの人間らに詰め寄られそうになったのだ。そのほとんどを、梁が一喝したことで退けてくれたが。
後宮は紅狼の言うように違うと信じようにも、まだ気持ちが追いつかない。大丈夫、大丈夫と呟いていると……紅狼が歩みを止め、恋花はぶつかりそうになった。
「ここだ。点心局は」
紅狼がさあ、と先に進むように促された入り口からは……麺麭ではなく、包子の甘い蒸気と香りが流れてきたのだ。
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