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第8話 祖母の弟子
「おや? 可愛らしい嬢ちゃんだねぇ? 新入りの侍女かい?」
恋花が中の蒸気に当てられていると、そこから一人の女性が出てきた。恰幅がよく、親しみを感じる笑顔。恋花を見下ろせるくらい背が高く、廊下側にいる紅狼と同じか少し低いくらいに思えた。
その体格の良さに少し驚いてしまったが、挨拶がまだだと恋花は姿勢を正した。
「……はじめまして。黄恋花と申します」
人間への挨拶など、祖母に化けていた九十九の梁以外久方ぶりなため、少しぎこちないが出来ていたと思う。
女性からは、また『おや』と言われて、肩を軽く叩かれたのだ。
「あんたが、玉蘭師父のお孫ちゃんかい!? ちっちゃかったのが随分と大きくなって!!」
「!? え……私、を知って?」
「ああそうさね。だいぶ昔だけど、会いに行ったことはあるさ。あたしは、崔廉ってもんだ。点心局の今の長だよ」
恋花が物心つくかどうかに会いに来たのであれば、梁が祖母に化けるかどうかの時期か。ちらりと梁を見ても、彼は首を左右に振るだけだ。
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