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「……麺麭と言います。包子のように、中には餡が入れてあります」
「……ぱん?」
「俺も食わせてもらったが、すごく美味だ」
「へー? 李武官が言うくらいなら」
と言って、躊躇うこともなく、豪快にかぶりついた。恋花は少し不安を抱きながら、崔廉の口からどのような言葉が出るかを待った。
横に来た梁に、軽く肩を叩かれても安心する気持ちにはなれず、崔廉があんぱんを飲み込むのを待つ。よく咀嚼し、味わいを確かめるようにして飲み込んだ崔廉は。
手元に残ったあんぱんを持ったまま、空いている腕を使って恋花に抱きついてきたのだ。
「!?」
「合格さね! あんたは凄いよ!! さすがは師父の孫だ!」
と言って、ぐりぐりと痛いくらいに恋花の頭に顎を乗せてきた。喜びの表れなのだろうが、そこまで感心させるとは思っていなかったので、恋花はびっくり以上に惚けてしまう。
「なら、崔廉殿。恋花を頼めるか?」
「もちろんさ。緑玲妃への点心作りにも加わらせていい!」
「りょく……れい?」
「李武官の従姉妹様だよ。……事情知らせてないのかい?」
「正式に決まってからだと思ってな」
とにかく、審査には合格して勤め先が出来たこととなり。
他の点心局の料理人らにも、あんぱんを食べてもらうこととなった。
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