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「無難だな。俺でもそうする。……崔廉にドヤされていないか心配だが」
「そこは大丈夫だ。孫……恋花自身の異能のおかげで切り抜けていた」
「なんだなんだ? 術は使えないが、なにか使えるのか?」
「ああ」
皇帝に椅子へ座るように言われ、恋花との出会いと彼女自身が持つ『先見』や麺麭作りのことについて話した。異能は占い師ほどではないが、未知の食べ物を作れる技術、それに伴う努力家であることを伝えた。
紅狼は詳細まで伝えると、皇帝はまた顔を輝かせたのだった。
「凄いな? 先の世の食べ物を再現出来るとは」
「時期に、お前や緑玲にも献上されるだろう。崔廉殿が認めていたしな」
「それは楽しみだ。……しかし、あの玉蘭が何者かに封印か。今玉蘭はどこに居る?」
「恋花の九十九の中に。特殊な結界を展開出来るらしく、そこが安全だと俺も思った」
「そうか。それならまだいい。……下手にもとあった場所に放置していたら、こちらも手が出しにくい」
「……そうだな」
皇帝の口にした言葉と、心情はたしかに本物だ。念のため、紅狼は呪眼で確認したが安心出来る結果だったので彼には言わずでおいた。
かつての、創建の皇帝である神羅から時代はだいぶ経つが、紅狼は現皇帝が彼であってよかったと思っている。
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