第12話 皇帝への伝達

3/3
前へ
/268ページ
次へ
「しかし。単純に封印は解けなかったのだろう? 呪眼や幾つかの呪いを持つお前ですら」 「……ああ。ダメだった」  九十九を使っても、なにも結果は得られなかった。その事実は本当なので紅狼は首を縦に振る。皇帝は息を軽く吐き、紅狼に近づくと軽く肩を叩いてくれた。 「望みが薄いわけではない。あとどれくらいかは分からずとも、俺は友としてお前を絶対死なせないぞ」 「……ああ」  紅狼を蝕んでいる呪い。それらは身体だけでなく、魂をも侵食していた短命につながるものばかりだった。どれも最近かけられたものだが、玉蘭を頼りにしたくとも……本人でさえあの状態だ。  いつ死ぬか分からない身とは言え、皇帝の剣である自分が酷く情け無い。恋花も利用する形で連れて来たとは言え、早く玉蘭を何とかしたいのは紅狼とて同じだったのだ。
/268ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加