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「うん?」
『どうした?』
「こ、これはきちんとした麺麭ではありません! せめて、先程お出ししたものでなければ!!」
「そうかい? 充分美味いと思うけど」
「……そうかもしれませんが」
最低窯さえあれば、種類も増え、多種多様な麺麭が作れるだろうが。ここはひとつ、簡易であれ窯をつくらせてもらえるか提案しようとしたのだが。
「おい、崔廉。なんだこの良い匂いは?」
紅狼が戻ってきたのだが、もう一人男性も伴っていた。同じ世代で男らしく美しい顔立ち。同じ武官かと思ったが、仕立ての良過ぎる整えられた服装でいた。
つまり。
「あら、主上。おいでなすったのかい?」
予想していた通り、彼は唐亜国の現代皇帝だったのだ。
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