第13話 窯でないあんぱん

3/3
前へ
/268ページ
次へ
「うん?」 『どうした?』 「こ、これはきちんとした麺麭ではありません! せめて、先程お出ししたものでなければ!!」 「そうかい? 充分美味いと思うけど」 「……そうかもしれませんが」  最低窯さえあれば、種類も増え、多種多様な麺麭が作れるだろうが。ここはひとつ、簡易であれ窯をつくらせてもらえるか提案しようとしたのだが。 「おい、崔廉。なんだこの良い匂いは?」  紅狼が戻ってきたのだが、もう一人男性も伴っていた。同じ世代で男らしく美しい顔立ち。同じ武官かと思ったが、仕立ての良過ぎる整えられた服装でいた。  つまり。 「あら、主上。おいでなすったのかい?」  予想していた通り、彼は唐亜(とうあ)国の現代皇帝だったのだ。
/268ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加