第3話 無しの少女②

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 恋花は軽く息を整えてから、扉の方に行ってゆっくりと開けた。 「……どちらさまで」  しょうか、と言おうとしたのだが。  恋花は相手の顔を見上げた時、窓から見えた役人ということもだが、眼帯があれどなんて美しい男性だと……感心して息を飲んでしまったのだ。眼帯がなければさぞかし美丈夫だっただろうに、と思ったが、町中の九十九にも類似するような美しさを感じた。 「ん? 君は孫か?」  相手は恋花のことを少し知っているのか問いかけてきたので、恋花は慌てて頷く。役人など、九十九のいない恋花にはある意味雲の上のような存在。そのような人間が、祖母に用とは言え何をしに来たのだろうか。 「祖母、ですね。呼んできます」 「ああ、頼む」  九十九は人間に寄り添うが、普段は身体の内側に宿っているとされているので、初対面だけなら役人でもわからないだろう。恋花らの噂を知らなければだが。  食卓に行くと、先にあんぱんを食べようとしていた玉蘭が足音に気づいて、手を引っ込めようとしていたところだった。 「奶奶。お役人様が来てる」 「こんなおいぼれにかい? 昔の仲間かねぇ」 「ううん。もっと若い方だった」 「ふぅん? まあ、行こうじゃないか」
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