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第4話 無しの九十九
「奶奶……?」
祖母、だったモノ。……ずっと、そうだと思っていた存在だったモノが、違っていただなんてて誰が思うだろうか。
役人の投げかけた言葉で、玉蘭だった存在は……表面が溶けていくように崩れ、中から違うモノが出てきた。
紅く、短い髪。透けた肌に長い手足。
顔立ちは女ではなく、男。向こう側にいる役人とは違うが男らしさが、きちんと表れていた。彼は、玉蘭だった皮のようなモノを剥がすと……恋花に向き合い、いきなり腰を折った。
『済まない! 恋花!』
「え……と、あなた……は?」
訳がわからないでいると、役人の方が大きくため息を吐いたのだ。
「察するに、お前はその子の九十九か?」
「つ……くも?」
何を彼は言っているのだろうか。恋花には九十九は居ない。『無し』の存在だと、玉蘭や両親には言われ続けていた。その玉蘭だったモノが、九十九だとは分かったけれど、その主が恋花だとは予想外過ぎた。
つまりは、未だ腰を折っている九十九らしき彼は、玉蘭に化けて恋花を騙していたと言うこと。だが、なんのためにそんな事をしてきた意味がわからなかった。
『是。我は、恋花の九十九。名を梁と言う』
役人からの問いかけに、梁は素直に首を縦に振った。そして、はっきりと恋花の九十九であると口にしたのだ。
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