第1話 序幕

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第1話 序幕

 世に『存在』と言うものは、数多……八百万(やおよろず)ほど、或るとされている。  神、仙人、あやかし、動植物……そして、人間。  その人間には、定命(じょうみょう)しか生きられないとされているのだが、特別な『存在』が共に寄り添っていた。  魂の化身であるとか。  自然から生み出された精霊であるとか。様々な謂れがあったが、人間が存在するようになってからは常に寄り添う姿勢がであったとか。  はるか昔。広大な大陸には、多くの人間らがその存在を駆使して……互いに血を流し合い、命を失い、地に染み込んでいった。  それらの争いを鎮めたのが、のちの唐亜(とうあ)帝国を築いた初代皇帝・神羅(しんら)と史書には刻まれている。  神羅は、寄り添う存在らに呼称を与えるほど……信頼し、共に生きていくのを望んだ。身分問わず。  その存在の名は、常に寄り添うものとして……『九十九(つくも)』と呼ばれることとなったのだ。
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