掲示板の謎を解け!

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掲示板の謎を解け!

【七月三日(月) 午前六時 自宅】  ――ピピピ、ピピピ……。 頭の中がぼやけたまま、右手をごそごそと動かす。手が万歳の辺りまで宙を切る。すると、ガッ、となにかに当たり鈍い音がした。一定な音の繰り返しを周囲に放射しながら振動する物体。ソレの上部についている突起を、うっすら開けた目で確認し眉間(みけん)にしわを寄せながらカチリと人差し指で一度押す。音は止み、部屋にふただび静寂(せいじゃく)がおとずれる。ふぅ、と一息ついてから大きく伸びをする。――ソレとは、目覚まし時計のことだ。  それから、もぞもぞと布団の中で手足を動かす。体が温まり、ようやく脳が働きはじめたら、ベッドから起き上がり、クローゼットへのそのそと向かう。目覚まし時計は午前六時半を過ぎていた時刻をさしていた。 着替えながら窓の外を眺める。まだ町を歩いている人は少ない。電線にとまっているスズメの鳴き声が頭の中にたまった形容しにくいモヤモヤを払ってくれる。クローゼットから取り出された制服はすでに入学時の緊張感を失っている。母さんがアイロンをかけてくれたワイシャツに手を通して、退屈そうにうなだれて待機している半透明のボタンを不器用につける。
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