4人が本棚に入れています
本棚に追加
高校は私服登校できるところがいいな、あ、でも毎日着る服を考えないといけないのか、むずかしいぞ。…パーカーとジャージのズボンでいいか。
部屋の扉と勉強机の間に立てかけられている鏡を使って、着替え終わった全身を写してみる。うん、これといって特徴がない平凡な男子中学生がそこには立っている。学校指定のブレザーを違和感なく着れていることがせめてもの救いだ。
制服に着替えたら部屋を出て廊下をまっすぐ進み、突き当りの右側にある洗面所で顔を洗う。学校に行く準備を整えてから、同じ委員会に所属しているクラスメイトから借りた本を読んでいた。それは『島に集められた十人の話』で昔から有名なミステリーものだ。ぼくは朝の時間を使って予習や読書をするようにしている。朝に勉強をした方が頭の中にすっと情報が入ってくるからだ。しばらく夢中になってページをめくっていると下の階から母さんの声が聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!