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坂道王国中の雄鶏が首をちょん切られることになりました。
兵隊さんたちは、それはそれは勇敢でした。
国境の森からお腹をへらしたグリズリーベアがやってきたとか、そういう事態でしたら喜んで闘う覚悟です。
でもごらんなさい、雄鶏ですって。
罪の無い雄鶏の首をちょん切るのは、勇敢なことでも、なんでもないのです。
おまけにお百姓さんからは恨まれるばっかりです。
兵隊さんたちは雄鶏を見て憎らしくなりました。
こんなもののために不名誉な闘いをしなくてはならないのですから。
兵隊さんたちは怒りに任せて雄鶏の首をちょん切りました。
お百姓さんたちは兵隊さんたちに怒りました。
街の人たちはお百姓さんたちに怒りました。
お百姓さんたちが卵を売ってくれなくなったからです。
雄鶏が首をちょん切られてあまりに驚いた雌鶏たちは、卵を産まなくなりました。
レモンの香りさわやかな坂道王国は怒りにあふれてゆきました。
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