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ウソでしょ、こんなことって。
「本当に……ラクト、なのか?」
「うん」
おじさんはボクの顔と、周り…新千歳空港…を見た。
「久しぶり……じゃ、ないんだな?」
「うん」
おじさんは携帯を開いて、頭を抱えた。
「俺……なんか変なこと、したか?」
「アクション映画みたいなことなら、した」
※※※
ボク、ラクト。千葉の中二だったけど、二学期からは北海道の中二だ。
残りの千葉での時間は、手続きとか、お別れとか、ママの説得(一番大変だった)で、あっという間に過ぎた。
ヘトヘトで新千歳空港に着いて、とりあえずメシ食おうってことで、ボクらはエスカレーターに乗った。
子供がバランスを崩して、スーツケースと一緒に転がっ…え⁈
おじさんがすごい速さで駆け上がって、子供を抱えて、その勢いで回って、蹴りでスーツケースを止めた。
……え、何、今の? 映画?
おじさんは、上の階に着いてから、めちゃくちゃお礼を言われて、家族が去った後もボンヤリ立っていた。
「おじさん!」
ボクが、スーツケースを持って近寄ったら。
「あ、それ俺のスーツケース。探してたんだ、ありがとう。じゃ、良い旅を」
そう言って、おじさんはエスカレーターを降りて行った。
「え、ちょ、おじさん? おじさーん!」
飛行機のチケットを見せて、やっと信じてもらえた。
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