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急変にすぐ対応できるよう黒田に心電図のモニターを着けて管理することにして、濱田先輩と森本が詰所に戻って来た。
「黒田さんの奥さんから本人に電話きて、事故のこともう知っててね、もう少しで着くって……あれ?あの人は何者?」
「黒田さん目覚めたんですか?奥さんからの電話ってことは…あの女性はやっぱり愛人?…何にしても、家族じゃないならお帰りいただかないと…」
濱田先輩はニヤニヤしながら「え〜愛人?」と、興味津々といった様子で楽し気にしていたが、私はそれを無視して女の元へ行き、挨拶をした。私に気づいたその女は「あ…」と短く声を発して会釈をした。
「もう、時間も遅いですし…ご家族以外のお付き添いはご遠慮いただいておりまして…」
私は言葉を濁しながら、やんわりと帰ってもらえるよう誘導する。
もうすぐ着くという妻と遭遇して修羅場となるのは避けなくてはならない。
「あの…でも…」
女性は口ごもって、帰ろうとしない。
私は毅然とした態度で「まだ何か?」と言うと、女性は眉を下げて、私の手を握ってきた。
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