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暑さが和らいだ9月下旬、私が待機室にいるとボーイから席に着くように指示があった。
お客様は2人の男性で、1人は40代位でもう1人は20代のサラリーマン風のスーツ姿の2人だった。
40代の男性客には先輩キャストが席に着くように指示され、20代の男性客には私が席に着くように指示されたけれど、その20代の男性に見覚えがあった。
その20代の男性客は、高校の頃私が好きだった一瑳君だった。
私は一瑳君の隣の席に座ったけれど、一瑳君は私のことに気付いていないようだった。
それもそのはず高校の頃の私は体重82kgあったけれど、今の私はダイエットして体重45Kgになっていて、まるで別人のような見た目になっていたからだ。
私は一瑳君に自分のことを話そうかどうしようか迷ったけれど、正直に打ち明けようと決意した。
一瑳君の隣の席に着いた私は、
「珠希と申します。
一瑳君、お久しぶりです。」
と言葉をかけた。
急に名前を呼ばれて驚いたのか一瑳君が私の顔をまじまじと見て、
「えっ、珠希さんなの?」
と確信を持てないような表情で言葉をかけてくれた。
「そうだよ、高校の吹奏楽部で一緒だった珠希だよ!」
私が笑顔で答えると、一瑳君は驚いたようだった。
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