1 疑惑が確信に変わる時

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「けどさ、ああいう漫画読んでると考えちゃうんだよね。私だったら不倫されたら即別れるのに、とか。少しでも怪しいと思ったら、淡々と証拠集めて、旦那も不倫相手もぶち殺してやる、とか」 「莉央、プロポーズされたばっかでしょ?幸せ真っ盛りの時に、そんなことまで考える?普通」  身を乗り出して、不倫された時の妄想を繰り広げている莉央に、広香は呆れて笑った。 「あったりまえじゃない。あいつ、昔から女遊び激しかったからね。婚約したからって、安心できないわよ。顔はかっこいいし、高身長。総合商社勤めで、いい大学も出てるし、何より誰にでも優しい。そんな男、他の女がほっとくわけないじゃん」 「愚痴かと思いきや、惚気ですか」 「あはは、バレた?」  莉央の彼氏とは広香も一度会ったことがあるが、確かに見た目はどこぞのモデルかと思うくらい華やかだったし、初対面の自分にもにこやかに接してくれ、第一印象で「すごくモテるだろうな」と思った記憶がある。 「けど、広香の旦那みたいなさ、いかにも真面目で一度もハメ外したことありません!って人は、浮気の心配ないからいいよねえ。てか、女に興味なさそうだし」 「まあ、ね」 「子供が生まれてからもいいパパになりそう! あれ、男の子だったよね?」  莉央が広香のお腹の方を指して言った。 「うん、男の子。渉さん、もうおもちゃとか、本とかたくさん買ってきてて、家にベビーグッズが溢れかえってる。そんなの使えるのまだまだ先なのにね」
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