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「証拠もあるから。言い逃れしたって無駄」
「……あの子とは遊びなんだ!それくらい許してくれよ!そもそも君が全然相手してくれないから、他の女で満たすしかなかったんだ。わかるだろ?」
「私は……夫を裏切ってまで、自分の欲を満たそうとなんてしない」
広香の言葉に、渉は苛立ったように頭を激しく掻きむしり、大きな声を出した。
「男と女は違うだろ!!!」
「何が違うんですか?」
渉が突然聞こえた声に驚き、後ろを思い切り振り向く。莉央の彼氏、修二だった。
「修二!」
莉央が泣きそうな顔で名前を呼んだ。
「なんですか、あなたは……」
渉はというと、頭ひとつ分身長が高い修二に、わかりやすく萎縮していた。
「はじめまして、加藤修二です。莉央の彼氏です」
修羅場にも関わらず、そう言って爽やかに微笑む修二を見てなぜかホッとする。
「ごめんなさい、修二さん。巻き込んじゃって。この人にはすぐ帰ってもらうから」
「おい!話はまだ終わってないだろ!」
渉は広香をギロリと睨んだが、笑顔でじっとこちらを見つめる修二の視線に気づいたのか、ペコペコとお辞儀をしながら「すみません、ご迷惑をおかけして」と謝った。
渉は女性に対してはいつも強く出ていたが、男性、得に自分より地位が高い、年収が高い、年齢が高い、身長が高い男性相手では、途端にへりくだった。相手の立場によって態度を変える、醜い男なのだ。
「いえいえ、こちらこそ間に入っちゃってすみません!面白そうな話してるなーと思って。それで、男と女はどう違うんですか?」
「それは、その、そういうのあるじゃないですか男には……」
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