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「そう思うなら、本人に確かめてみたらどう?」
もし渉に振られたりなんかしたら、この女はきっと逆上して渉のことを刺してしまうかもしれない。
それくらいの狂気が、彼女の目には宿っていた。しかし、それもすべて純粋無垢な女性を騙した渉の責任だ。
「あなたと会うのもこれが最後だと思うから。渉との幸せを願ってるわ」
広香は愛の手から自分のスマホを抜き取り、立ち上がった。万が一、渉と結婚できたとしても幸せになれるはずがない。自分の二の舞になるだけだ。
喫茶店の外に出て、ちらりと愛の方を見ると、身動きひとつせず、ただただ涙を流し俯いていた。
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