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「妻とは色々あってまだ離婚できないんだ。愛のことは大好きだし、いつか一緒になりたいって思ってたけど、今はその時じゃない」
「……けど、奥さんはもう渉さんには会わないって、離婚するって言ってたよ」
「広香と会ったのか!?」
「うん。私が渉さんとの子供を妊娠してるってこともちゃんと話したよ」
渉は愛の勝手な行動にイラつき、舌打ちをした。こいつのせいで、さらに広香が有利になり、慰謝料を請求してきたかと思うと、今すぐ首を絞めて殺してやりたいくらいの衝動に駆られた。
「お前のせいで俺は……」
「それでね、あの人変なこと言うんだよ。渉さんがるり子ちゃんとできてるって。不倫してるって。ねえ、嘘だよね?」
「……」
広香がすべて話したのだろう。愛がそこまで知ってしまったのなら、もう何も隠す必要はないように感じた。愛を切ったとしても、るり子はいるし、新しい女が欲しくなればまた探せばいい。面倒な女はここでいさぎよく切った方が、後々いいかもしれない。
そう思うと、渉は少し気が楽になった。もう嘘をつく必要も、自分を偽る必要もないわけだ。
「ああ、そうだよ。るり子ともシテる」
「なんで浮気したの……?私のこと愛してるって言ったよねえ!?大好きだって、結婚したいって……!」
「浮気?君って本当にバカなんだな」
「え……?」
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