10 幸せな記憶【最終回】

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 そのまま倒れたるり子の背中には大きな包丁が刺さっており、真っ赤な血がとめどなく流れた。  あっという間にるり子の周りには血の水溜りが出来る。渉はあまりにも非現実的な光景に混乱していた。   「嘘だろ……なんだよ、これ……!どうして……」 「やーっと二人きりになれたね」  ハッとして声の方を向くと、そこには不適な笑みを浮かべた愛が、こちらを見つめ立っていた。 「ずっと避けられてたから、寂しくて会いに来ちゃったよ」 「なんで、お前……ふざけんなよ……意味わかんないだろ、刺すって……いくらなんでも……」 「え?だってこの女は私たちの世界に必要ないもん。だったら殺すしかないでしょ」  そう言いながら、愛は倒れるるり子の顔をグリグリと足で踏みつけた。    その狂気的な行動に渉は腰を抜かし、その場で尻餅をついた。  愛は微笑みを浮かべたまま、一歩一歩近づく。
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