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夫婦喧嘩の真実
「今日という今日は、はっきり言わせて貰うわ!」
怜奈はぎろり、と相手を睨みつけた。
テーブルの正面に座る彼――壮一郎を。
「所詮、この程度のことだってあなたは思ってるんでしょう?でも、私にとってはこの程度、じゃないの。とても大事なことなんだから」
「大事?お前は自分が楽しければそれでいいんだろ」
「それはこっちの台詞よ!いっつもいっつも、ベッドの上では自分が王様みたいな顔しちゃって!」
ドン!と大きな音が響き渡った。怜奈が怒りのまま、テーブルに拳を叩きつけた音である。
しかし壮一郎は一切怯む様子もない。冷たい目で、彼女を睨み返すのみ。
それがまた癪に障るのか、怜奈の声は甲高く裏返った。
「その態度!その態度こそ腹立たしいわ。私は恥ずかしいし、そっちの方がイイから後ろからじゃないと嫌だって言ってるのに。あんたはいっつも前からがいいってそればっかり!」
「顔見えないんだから仕方ないだろ」
「電気だってそうよ。私は恥ずかしいから消してって言ってるのにあんたってば……」
「失敗したら嫌なんだからつけておくに決まってる!なんだよ、今更恥ずかしがるような仲か?俺ら付き合って何年過ぎてると思ってるんだよ!」
「そういう問題じゃないわ!大体ね……!」
喧嘩は続く。どこまでも続く。
それを聞いた者達が青ざめていることにも気づかぬまま。
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