虫姦芸術。

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 歩いて奥の席に行き、声をかける。 「あの……。アキラさんですか?」 「あ、百恵ちゃん?」  アキラはメールの段階で伝えておいた私の名前を言うと、私の返事を待たずに「座りなよ」と言った。  私がアキラの正面に座ると、すでに背後にいた先ほどの女店員が私の前に水を置き、「ご注文のほうお決まりになりましたら、こちらのボタンでお呼びください」と言い去っていった。  私はアキラを観察する。  偏見かもしれないが、タランチュラを飼育してる男性なんて、私と同じくイケてない人種だと思っていた。しかし、目の前の男性……アキラは違った。  茶色に染めた長めの髪に、首にはネックレス。服装も私の無知で系統は分からないが、統一感がありお洒落だった。顔は男性アイドルのように中世的で、体型も細身だ。  私はまたしても居心地の悪さを感じた。  私たちは他の客にどう思われてるだろう……。イケメンに騙される芋女のように映ってはいないだろうか……。  そんなことを考えていると、「どうしたの?」とアキラが声をかけてきた。 「いえ……」私が返事をすると、「昼飯、食べた?」と聞いてきた。 「まだです」 「じゃあ何か食べようよ」そう言い、アキラはメニュー表を手渡してきた。  私はそれを受け取った。
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