虫姦芸術。

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「アキラさんはなんのタランチュラを飼ってるんですか?」  私が聞くとアキラは、「呼び捨てでいいし、タメ口でいいよ」と言って、「ローズヘアータランチュラ、メキシカンレッドニー、ブラジリアンブラック、あとコバルトブルータランチュラやメタリカとかかな」と言った。  私の乏しい知識でも、最後に言ったメタリカ以外のタランチュラは分かった。  タランチュラにしては地味な見た目ながら大人しさや毒性の弱さから初心者向けと言われているローズヘアータランチュラ。  同じく初心者向けと言われている黒とオレンジの美しい色合いのメキシカンレッドニー。  これまた初心者向けと言われることが多い漆黒の体毛が美しいブラジリアンブラック。  さきほどまでの初心者向けタランチュラとは打って変わって、鮮やかな青が綺麗だが凶暴かつ毒性の強い、タランチュラの飼育に慣れた人向けの種であるコバルトブルータランチュラ……。  私が仕入れた知識でも、それぐらいのことは瞬時に理解できた。  さきほどアキラに呼び捨てかつタメ口でいいと言われたので、私はその返事として、「じゃあタメ口で話すね。私も最初に飼うならメキシカンレッドニーが良いと思ってた」とタメ口で言った。  話していくにしたがって、最初に感じていた居心地の悪さは消えていた。
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