虫姦芸術。

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 私は物心付いたときから虫が好きだった。  なので、小学生の頃はよく、男の子たちと一緒に虫とり遊びをした。  夏だと、コオロギ、バッタ、セミ、てんとう虫、ダンゴムシ、トンボ、カブトムシなど、いろんな虫がとれた。  なかには捕まえるだけではなく、家に持ち帰り、飼育してみる虫もあった。当時は飼育方法など知らず、ほとんど我流の飼い方だったので、大抵はすぐに死んでしまったけれど……。  一方そんな自分とは反対に、同級生の女の子たちはみんな虫が苦手で、私は完全に異端児扱いされていた。  おかげで小学校六年間、私には友達という友達がいなかった。  一緒に遊んでいた男の子たちでさえ、個人的に親しい子はいなかった。  さらに中学校に上がると、男子といえども虫とり遊びをする子は皆無。  小学生の頃に一緒に虫とり遊びをしていた子も、勉強や部活などに精を出すようになり、私はいよいよ孤立した。  中学三年生になると、そんな私にも友達ができた。田中雪絵という子だった。雪絵も他の女の子と同じで虫など嫌い……雪絵曰く昔は平気だったけれど、成長するに従い嫌いになった……と言う話だった。  雪絵とはひょんなことから話す仲になり、それ以来、お互いの家を行き来したりして、今でも友達以上の仲でいる。どういう意味で友達以上なのかは追々書くとして、話は中学を卒業したあと、高校時代に入る。
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