虫姦芸術。

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 それらの画像を見て、私が心を奪われたのは、タランチュラの美しさであった。  投稿されている画像の多くは、模様があったり、青やピンクなど、綺麗な色をしたタランチュラだった。  私はタランチュラという大型の蜘蛛を見て、その魅力に取り憑かれた。  掲示板を見始めてすぐに、私もこれを飼育してみたい! とまで思った。一目惚れと言うやつだ。  でも……。  最初に書いた通り、私は小学生の頃から虫を我流で飼育しては、死なせてきた。タランチュラを飼育するにしても、飼い方が分からない。それに、地元のペットショップなどで、タランチュラを販売しているのを見たことがない。加えて、タランチュラは毒蜘蛛であるということは知っていたが、毒がどの程度なのかも分からない。人間を死に至らしめる猛毒を持つというイメージもある。その場合、さすがに飼育は無理だった。あと、私は実家暮らしなのだ。そんな生き物を飼育することについて、親が反対しないわけがない。  私は、一瞬で見たタランチュラを飼育するという夢が、これまた一瞬で崩れていくのを感じた。  まだ飼育するという妄想の段階とは言え、人生でこんなに何かに熱狂したのは初めてかもしれない。  それほどまでに、私はタランチュラの魅力に心を奪われていた。
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