虫姦芸術。

　私は、タランチュラの飼育許可を得ようと、親の部屋へ向かった。
　結果は、だめだった。
　飼育の容易さに加えてネックであろう毒についても説明したが、だめなものはだめだと言われた。
　それだけではない。お前は頭がおかしいんじゃないか、どうしても飼いたいのであれば家を出ていけ、とまで言われた。
　なので私は、一旦は諦めた。
　しかし、やはり飼いたい！　せめて、実物を見てみたい！　そう思っていたら、利用していた生き物掲示板の、投稿された画像を見る以外の使い方を思いついた。
　そうだ、タランチュラを飼育している人……こんなに書き込みがあるのだから、私の住む県の近くにも一人ぐらいいるだろう……その人の家にお邪魔して、見せてもらおう……！
　思い立つと、私はすぐに書き込みをした。もちろん、生き物掲示板の虫スレにだ……。
『はじめまして。タランチュラを飼育するのが夢な16歳の女です。ですが、親から飼育を反対されています。そこで、✕県付近にお住まいの方で、タランチュラを飼育されている方がいましたら実際に見せていただけませんでしょうか？男女問いません。よかったらよろしくお願いします。メールアドレスは✕✕@✕✕』
　このように、私は自分のメールアドレスを掲示板に貼り付けて、募集をかけたのだった。