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エルランドはファンヌにハンネスからの手紙を手渡した。ファンヌは黙ってそれを受け取り、視線を走らせる。
だが、彼女の顔はみるみるうちに赤くなっていく。あのとき、彼の獣化が解けたのも、この論文を読めば納得はできる。
「番を見つけた獣人が獣化を制御できるようになるのは、そういうことのようだ。だからもう、あの扉の前のテーブルはいらないよな?」
「そ、それは……。いります。だって私たち、まだ結婚していませんから。こ、こういうのは、結婚をしてからですよね」
ファンヌの言葉に不満げなエルランドであるが、彼女との結婚の時期は決まっている。それは、ファンヌが十九歳の誕生日を迎える日。
「まあ、いい。結婚した後は、蜜月があるからな」
だが、ファンヌは首を傾げる。
「エルさん。いつもそう言ってますが。蜜月とはなんですか?」
エルランドの答えに、ファンヌが悲鳴をあげたのは言うまでもない。
【完】
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