第四章

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 朝、カーラに相談しようと思っていたこと。つまり、下着が欲しいということ。せっかく街まで足を伸ばしたし、先ほどオスモからもらった賃金もあるため、それで必要な物を揃えていきたいという気持ちがあった。 「どこだ?」 「え、と。そう、服が欲しいんです」  下着と口にすることができなかったファンヌは、あえて「服」と表現をした。だが、エルランドは怪訝そうに眉根を寄せた。 「服……。部屋に準備してあっただろう? あれでは、不満なのか?」 「ち、違います」  エルランドの言う通り、ファンヌが与えられた部屋には普段使いのワンピースや、ちょっとした集まりに出席できるようなドレスが準備してあった。それにも関わらず「服が欲しい」と言ったら、あの服に満足できなかったと思われても仕方ないだろう。 「し……、下着が欲しいんです」  基本的にエルランドには遠回しな言い方が通用しない。 「こちらで準備すればいいかなと思っていたので、あまり持ってきていないんです」 「そうか……。さすがにそれまではこちらで準備ができなかったからな。サイズもわからなかったし」
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