第四章

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 サイズさえわかれば準備していたような彼の口調に、ファンヌは少しだけ目を見開いた。 「オレは白の方が好みだな」  一瞬、ファンヌはエルランドが何を言っているのか意味がわからなかった。だが、それが下着の色であることにすぐに気づいた。 「誰も先生の好みは聞いていません」 「そうか?」 「そうです」  そこでファンヌは残っていたお茶を一気に飲み干した。 「場所さえ教えていただければ、あとは一人で買い物できますから」 「いや。君一人では危ないから、オレも付き合う」 「ですが、この国には暴漢などいないって、先生も先ほどおっしゃったではありませんか」 「この国の者を襲う輩はいない。だが、君のように他国の者は別だ」  ファンヌは目を細めた。エルランドは言葉を続ける。 「この国の者は獣人の血を引いている者がほとんどだから、他の国の者よりも、五感に長けているし、力の強い者が多い。だからこそ、力の無い他の者は狙われる可能性が高い。まあ、そうならないように騎士団たちがきっちりと見張ってはいるが。それでも、できれば街歩きには必ず家の者を誰かつけて欲しい」 「わかりました……」
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