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獣人の特徴について、ファンヌにもわからないことが多い。まして、その血を引くこの国の者たちの特徴も。エルランドが言った通り、力の強い人間と対峙したら間違いなく負けるだろう。その力がどれくらいかわかないところが恐ろしい。
「だから、君の買い物には付き合う」
つまりエルランドが護衛役を買って出るということなのだろう。
「ありがとうございます」
彼の好意を素直に受け止めることにした。
お腹もいっぱいになった二人は、レストランを出た。ファンヌが自分の分を支払おうとしたら、エルランドが「君の両親から生活費を預かっているから」という理由で全てを支払った。ファンヌは、両親がどれくらいの金額を生活費としてエルランドに渡しているのかを知らない。だから、どれくらい彼に甘えたらいいのかがわからない。
お昼の時間帯も過ぎたためか、人でごった返していた食べ物を扱う露店の前からも、人だかりはなくなっていた。通りにいる人もまばらだ。
「先生は、リヴァスにいたときもこちらには戻ってきていたのですか?」
エルランドは十三才でリヴァスに留学したと、リクハルドが言っていた。
「そうだな。長期休暇のときは、たびたび」
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