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「転移魔法で?」
「ああ。オレの国籍はこちらにあるから、リヴァスからこちらに来る分には手続きがいらない」
「ですから。転移魔法って高等魔術ですよね」
「こちらの王族であれば、誰でも使える。ああ、ここだ」
エルランドが立ち止まったのは、ラベンダー色の外壁が特徴的な建物であった。他の建物よりも幻想的な雰囲気がある。入り口に張り出している天幕の色は青。青は衣類を扱う店。
扉を押して仲に入ると、花の甘い香りが店内に漂っていた。
「いらっしゃいませぇ」
店員の独特の口調が二人を迎え入れた。
「せ、先生……。外で待っていますか?」
店内は、どこもかしこも女性用の下着で溢れている。エルランドがこのような店を知っていることに疑問を持ったファンヌではあるが、もしかしたらこの王都の全ての店を把握しているのかもしれないと思い、そこを追及することはやめた。
だが、この店内にエルランドを入れてしまって良かったのかという気持ちはあった。
「そちらに休憩スペースがございますからぁ、お待ちでしたらそちらでどうぞぅ」
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