第五章

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 ファンヌがベロテニアに来てから、とっくに一か月が過ぎていた。その間、オスモの仕事の手伝いをしつつ、それが終われば新しい『調茶』に挑戦するという彼女にとっては、夢にまで見ていた生活を送っていた。  ここに来てからファンヌが挑戦していたのは、そばかすに悩んでいるサシャのためにそばかすを薄くするためのお茶を作り出すこと。サシャは他の人と比べて肌の色が白い。それに洗濯や買い出しなどで外に出ることも多い。そういった彼女の話を聞いたファンヌは、完全に治すことは難しいが、目立たなくなる方法のお茶を考えていた。  茶葉は王宮管理の茶葉園から分けてもらっていた。また、たまにエルランドと共にウロバトの街に行き、露店で茶葉を買うこともあった。  エルランドはベロテニアの第三王子という立場でありながらも、わりと自由にしているようにファンヌには見えた。  そもそも彼が王宮ではなく、離れで暮らしているのはメルタネン侯爵の爵位を与えられたからという話だ。彼の出した論文によってその功績が認められたことも理由の一つでもあるらしい。
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