第五章

8/28
前へ
/311ページ
次へ
「そうだな。本来であれば、リヴァス王国のような温暖な場所で栽培されるのが一般的だ。こちらは、雪も降るくらい寒くなるからな。そのため茶葉が硬くなるし、白茶も多い」 「そのお茶も味があって好きなのですが。ただ、調茶との相性が悪くて……」 「なるほど」 「露店で並んでいる茶葉は、いろんな国の物を扱っているので、そちらから手に入れればいいのですが。やはり量が足りません」  ファンヌは腕を組んで唸った。やはり茶葉はリヴァス王国産のものが欲しい。  エルランドは自席から立ち上がると、ファンヌが座っていたソファの方に移動してきた。そして彼女の隣に座る。 「ファンヌが『調茶』したお茶だが。師匠に聞いてもやはり評判がいい。できればもっと多くの量を作り、他の者にも与えたいと師匠が言ってた」 「となれば、やはり茶葉の量が圧倒的に足りませんし、これ以上の量産となれば、私一人では無理です。リヴァスのように『製茶』専門の工場を持たないと。ですが、『製茶』って結構大変なんですよ。立ち仕事ですし」  ああ、とエルランドは大きく頷く。
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1583人が本棚に入れています
本棚に追加