第五章

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「どこからって、エル兄さまからよ。エル兄さまがローラン兄さまとルフィ兄さまに報告していたわ。これで『ぽんこつ』じゃないだろうって口にしていたけれど、名前を呼んでもらうまでに一か月以上もかけていたら、やっぱり『ぽんこつ』よね」  ファンヌは黙って紅茶を飲んだ。 「あ、そうそうファンヌ。あなたにお願いがあるのだけれど……」  サワリと、温かい風が肌に触れた。これから冬がやってくるというのに、このように日差しが暖かい日の風は心地よい。微かに香る、薬草と花の香り。 「オスモ先生にも相談はしたけれど、もしかしたらファンヌの方がいいかもしれないって言われて……」  エリッサがオスモにも相談したという点が気になった。どこか、身体に不調な点があるのだろうか。 「私……。月のものが重くて。どうしても寝込んでしまうの……」  なるほど、とファンヌは思った。こうやって彼女とお茶の場を設けるようになって一か月以上、二日から三日に一回は会っていた。それでも、会えない時があって、彼女が体調を崩して寝込んでいるとのことだった。
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