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「父上たちと、『調茶』の工場の件について話をしてきた。今回の案件が議会を通ったから、『調薬』で使用していた工場の一部を『調茶』のために使う許可が出た」
「え、本当ですか?」
ガタガタと椅子を勢いよく音を立てて、ファンヌは立ち上がった。勢いよく立ち上がり過ぎたため、椅子は後ろにコテンと倒れる。
その様子をエルランドは微笑みながら見ていて、倒れた椅子を元に戻した。さらにその二人の様子を見ているのはエリッサで、ニヨニヨと不気味な笑みを浮かべている。
「ああ。君のお茶を望んでいる者は多い。君一人で『調茶』から『製茶』までやるには、負担がかかり過ぎだし、多くの手元に届くのに時間もかかる。工場を整備すれば、『製茶』は他の者に手伝ってもらうことができるだろう?」
「はい。少し、大変な仕事ではありますが」
「だが、それを手伝ってまで君のお茶を飲みたいという者たちもいる」
「ありがとうございます」
ファンヌはエルランドに向かって頭を下げた。
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