第五章

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 どうやらエルランドは兄弟に恵まれているようだ。彼らは一番下の弟の気持ちの行方を見守っていることに、待ちくたびれてしまったのだろう。そこに配偶者まで加わっているのだから、ファンヌにとってはたまったものではない。ファンヌ自身でさえ、環境の変化に戸惑いさえ覚えているというのに。  助けを求めるかのようにエリッサに視線を向けると、彼女は小さく拳を握り「ガ・ン・バ・レ」と、口をパクパクさせていた。一体エリッサは誰を応援しているのか。 「では、ファンヌ。そろそろ帰ろう」  エルランドが右手を差し出してきたため、ファンヌは驚いてエルランドの顔を見上げた。 「ファンヌ。そこは黙ってエル兄さまの手を取るのよ」  先ほどから「ガンバレ」と応援しているエリッサからの助言ではあるのだが、ファンヌはエルランドとエリッサの顔を交互に見つめた。  二人とも期待を孕んだ目でファンヌを見ている。ふぅと息を吐き、気持ちを落ち着けてから彼女はエルランドの手に自分の手を添えた。 「じゃ、またね」  エリッサはテーブルの上で頬杖をつきながら、空いている方の手をひらひらと振っていた。 「えぇ。リサのお茶も忘れずに準備しておくわ」
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